墨人

墨人会について

墨人会は上田桑鳩のもとにあった森田子龍・井上有一・江口草玄・関谷義道・中村木子の5人が1952年(昭和27年)1月5日に京都の竜安寺石庭に集い、独立結成の呱々の声をあげました。それまでの書を取り巻く因襲に満ちた世界と一切縁を断ち、真の「書」の模索と創造に向けて船出したのでした。爾来、古典の研究を中心に据え、西洋抽象絵画との交流、また美学、禅哲学との出会いを通して全力的・極力的な研鑚と追究の末に「書は文字を書くことにより成立する」「書は命の躍動であり生き方のかたちである」という言葉に結晶してゆきました。​

現在、墨人会全体の活動には、毎年1月5日の創立記念日に会員(審査員)による研究発表、4月に公募東京展(東京都美術館)、7月または8月に夏季合宿(制作及び会員による研究発表)、秋には公募京都展(京都市立美術館)があります。そのほか全国各地域での活発な活動が展開されています。総合研究月刊誌「墨人」は既に創刊以来600号を超えています。​

墨人会は、根元の生命にかえって全人的に生きることをねがいその具体化の重要な場として書の制作におもむいている人びとの集まりである。われわれはみずからこのような生き方を制作によって深めると共に、作品を通して人びととひびきあうことによって、信頼に満ちた世界を築きあげたいのである。その地域と環境を背負う歴史の如何を問わず、そこを場としてこのねがいを実現しようとする人々は、われわれの同胞である。ひろく手をつないでいきたい。現在のところ、我々の活動の共通の場として、雑誌「墨人」、展覧会、研究会等を持っている。互いにひびきあい、相互の信愛の上に築かれたグループの本領を発揮することを通して、個々の生を全うしたい。